『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の評価されるべき点

 『シビル・ウォー』が評価されるべき点としてまず挙げられるのが、初めて『インクレディブル・ハルク』のメインキャストがシリーズに再登場した、という点です。ウィリアム・ハート氏が演じるロス将軍(本作品では国務長官となっており”ロス長官”となっています)が登場。今回の『シビル・ウォー』に登場する水中監獄も、まるでハルクを閉じ込めるために作ったかのような印象を受けます。

バナー博士役も変わってしまい、ハルクのキャラクターデザインも変わってしまったことで、半分なかったことにされかけているかのような気がしていた『インクレディブル・ハルク』。今作へのロス長官の再登場は、ハルク主演映画が息を吹き返した瞬間といってもいいでしょう。

もうひとつ、この映画の評価されるべき部分というのは、タイトルどおり主人公キャプテン・アメリカを物語の軸に置き、シリーズ全体の顔というべき存在であるアイアンマン/トニー・スタークを敵キャラクターとして描いたことです。これは勇気のいることだったと思います。いくらキャプテン・アメリカがシリーズの中心となってきたからといっても、シリーズを通していえば、まだまだ全体としての主人公はトニー・スタークですから。

しかも、クライマックスでのトニーとキャプテンのガチバトルでは、トニーの戦いの動機は感情に任せた”リベンジ”であり、それに対し主人公キャプテンの動機は、襲い来るトニーから親友バッキーを守るための、正当性のある”アベンジ”でした。トニーの怒りも理解はできるものの、そこに正当性がなかったぶん、アイアンマンが”悪役”としての役割を果たしているわけです。

つまり、メタ的な視点から観ても、キャプテンは映画シリーズ全体を敵に回して戦っているかのような絶望的な戦いに身を投じていたといえるでしょう。映画の中で「世界中を敵に回しても~」といったようなセリフがありましたが、製作側としても、主人公がアイアンマンと戦うということは、まさに観客を敵に回しかねない危険な、それでいて勇気ある行為だったといえるのではないでしょうか。